木村わいPのブログ

マグロおいしい

【クリエイター向け】TikTokノススメ

f:id:kimura_yp:20210527212239j:plain

突然ですが、2か月ほど前にTiktokを始めました。

ライブ配信時に「TikTokのアクセントが可笑しい」とリスナーから弄られた私がです。
きっかけは、ネタ曲投稿祭でフォローしたボカロPさんがTikTokでバズってるという噂を聞いたからでした。

始めたはいいものの、

  • 何を投稿すればいのか
  • そもそも縦に長い動画ってどうやって作るのか

といったレベルから、手探り状態でやってきました。

おかげさまで2021年5月27日現在ではフォロワーが2000人を超え、動画もそこそこ再生されるようになりました。

まだまだ駆け出しのTikTokerですが、自分への備忘録として、そしてまだTikTokをやっていないクリエイターさんの参考にもなればと思い、2ヵ月ほどTikTokをやってきて得た、伸びるためのノウハウをまとめておきます。

スマホ縦画面に最適化した動画を作る

TikTok利用者のメインデバイススマホですから、スマホで見やすい動画の方が伸びます。当たり前ですね。

当初私はyoutubeニコニコ動画に投稿した横長の動画を加工して、縦長の動画を作って投稿していました。こんな感じです。

@kimura_yp

ちょうどいい ##ボカロ ##木村わいP ##初音ミク ##高音厨音域テスト

♬ オリジナル楽曲 - 木村わいP

同じ曲を縦長のスマホ画面に最適化して投稿したものがこちらです。

@kimura_yp

フル版はyoutubeで見て! ##ちょうどいい ##木村わいP ##ボカロ ##初音ミク

♬ オリジナル楽曲 - 木村わいP

同じ曲ですが、再生数もいいね数も、後者の方がかなり多くなっています。

他の動画においても、横長動画を加工しただけのものより、縦長に最適化した動画の方が全体的に再生数もいいね数も多い傾向がありました。

スマートフォンの縦画面に最適化した動画にすることが重要なのですね。

TikTokコンテンツとして完結させる

私は当初TikTokを宣伝用チャネルとしか考えておらず、メインであるyoutubeに送客することを第一に考えて動画を作っていました。

そのため、60秒に収まるようワンコーラスの切り抜きを作って、「フルはyoutubeで」という宣伝文句を書いていました。

しかし、私のTiktokチャンネルで伸びている動画は

@kimura_yp

夜更かしはほどほどに ##ボカロ ##初音ミク ##木村わいp ##おやすみ ##おまえらそろそろ寝ろ

♬ オリジナル楽曲 - 木村わいP

@kimura_yp

毎日の葛藤 ##ボカロ ##木村わいP ##風呂 ##あるある

♬ オリジナル楽曲 - 木村わいP

のようにTikTok動画内で完結している動画でした。
わかりやすいのが以下の二つの比較です。

@kimura_yp

今週こそは ##何もしてないのに休日が終わった ##ボカロ ##木村わいP ##あるある

♬ オリジナル楽曲 - 木村わいP
@kimura_yp

毎日がんばる君へ ##ボカロ ##応援 ##木村わいP ##無理しない

♬ オリジナル楽曲 - 木村わいP

どちらも同じ曲なのですが、前者はワンコーラスの切りぬき+youtubeへの送客誘導という構成に対し、後者はサビのワンフレーズのみです。再生数やいいね数は後者の方が多くなっています。

前者はyoutubeの宣伝が目的なのに対し、後者は単体でコンテンツとして完結しており、「頑張りすぎないで気楽にいこう」というわかりやすいメッセージ性があるので、伸びたのだと思います。

ボカロPや歌い手の方であれば、伝えたいメッセージが込められたワンフレーズを切り取った短い動画を、1曲に対して複数投稿してもよいでしょう。

そうは言っても、TikTokの60秒という限られた時間で自身のコンテンツを伝えきることは難しいですし、現時点ではTikTok単体でのマネタイズも難しいため、youtubeや外部サイト等への送客を行いたいクリエイターも多いでしょう。

その際は、宣伝文を投稿時の本文に書いておく程度が良さそうです。プロフィールにリンクを貼っておけば、気になった方は自然と見てくれるはずです。

f:id:kimura_yp:20210527211304j:plain

あるあるネタは神

上記で紹介した私の再生数TOP2が「夜更かし」「風呂入るのだるい」というあるあるネタであることからもわかりますが、他の方の動画をザッピングしていても、あるあるネタは再生数やいいね数が多い傾向にあります。

TikTokに限らずあるあるネタは鉄板ですが、「あるある」はつまり「共感しやすい」ということなので、シェアが命のTikTokとは特に相性がいいのでしょう。

TikTokの短い動画は、LINEスタンプと同じようにコミュニケーションの中で「仲間に見せる」という使われ方とも相性がよいため、②と合わせて「TikTokコンテンツとして完結している共感されやすいネタ」が拡散されやすいのだと思います。

懐かしのあの人になれるかも

私のTikTokのコメントには

「木村わいPさん、懐かしい」

「ニコニコでよく見てた」

といったコメントがかなり多くついており、2021年現在でもニコニコ動画に投稿を続けている私としては驚いたのですが、ここから推測できることがあります。

2010年代前半のニコニコ動画全盛期にニコニコ動画を見ていた人の一部は、現在ニコニコ動画を離れ、TikTokをやっているのではないでしょうか。

当時ボカロや歌ってみたのメインリスナーであった10代~20代の若者は、今や立派な大人になり、コンテンツ視聴のメインストリームがTikTokになっているのです。彼ら/彼女らからすると、青春時代にニコニコで見ていた私を、大人になってTikTokで見つけたことで「懐かしい」という感情を抱いたのでしょう。

TikTokのメインユーザ層は中高生だと思われがちですが、日本においては20代~40代の利用者が多くなっていて、やはり10年前のニコニコメイン視聴層とも合致します。

lab.appa.pe

私と同じく2010年代前半にニコニコ動画で活動していたクリエイターの皆さんも、同じようにTikTokに参入することで「懐かしのあの人」として、温かく迎え入れてもらえるかもしれません。
これを機に、TikTokを始めてみてはいかがでしょうか。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

「中学生ボカロP」をマーケティング視点で考えてみる

ボカロPがあえて作品のタイトル等に「中学生」と明言することの是非について、当事者やそれ以外のクリエイター・視聴者を巻き込んで話題になることがあります。

「本人の好きにすればいい」というのが私個人の意見ですが、特に若い方にとって「好きにする」にしても必要な前提知識を得る機会が少なく、正しい判断が出来ないのではないかと思いました。

そこで本記事では、クリエイターが中学生であることを明言することの効果について、マーケティング視点で考えてみます。

中学生にもわかるよう平易な文章にしていますので、ボカロPに限らず中学生クリエーターの方は是非読んでみてください。

また「中学生」を別の属性に置き換えればそのまま成り立つ内容になっていますので、クリエイターが作品タイトル等で自身の属性を明言するかどうかを考える際の参考にしていただければと思います。

f:id:kimura_yp:20210404221252p:plain

クリエイターの目的

 基本的にクリエイターは自身の作品を出来るだけ多くの人に気に入ってもらいたいと考えているはずです。
そのために必要なステップは以下の3つです。

  1. 作品を見つけてもらう
  2. 作品を見てもらう
  3. 作品を気に入ってもらう

以降ではこの3つのステップごとに、「中学生」を明言することの効果を考えてみます。
※実際には4つ目の「継続(飽きられない)」という重要なステップもあるのですが、今回はスコープ外とします。

1.見つけてもらう

まずは出来るだけ多くの人に見つけてもらう必要があります。

すでにファンとしてフォローしてくれている方を除けば、動画サイトの検索結果やSNSで見つけてもらうことになります。

検索結果やSNSで表示された回数を「インプレッション数」と言います。

インプレッション数は、タイトル・タグ・説明文などを適切に設定することで増やすことができます。例えばタイトルやタグに「初音ミク」を入れることで、初音ミクの曲を中心に聞いているリスナーの検索結果に表示される可能性が上がりますよね。

では「中学生」を名乗ることがインプレッション数に与える影響を考えてみます。

タイトル・タグ・説明文に「中学生」と入れることで、中学生クリエイターを探す人に見つけてもらいやすくなります。

そのためインプレッション数を増やす効果が期待できるでしょう。「中学生クリエイターを探す人」は

  • 仲間を探している中学生のクリエイター
  • 若い才能を探しているプロデューサー

あたりでしょうか。これだけ見ると悪く無さそうですが、属性によっては悪いインプレッションを増やす(例:「女子高生」を名乗るとロリコンが沸く等)可能性もあるため、メリット/デメリットを考慮する必要があるでしょう。

実際にはコメントやSNSでの反応を見ながら、好ましくないインプレッションが多いようであれば明言を避けることも検討すべきかもしれません。

2.作品を見てもらう

検索結果やSNSで作品を見つけてもらったら、次は実際に見てもらう必要があります。

動画であれば、動画サイトやSNSでサムネイルをクリックし、再生ボタンを押してもらうステップです。

検索結果やSNSで表示された回数に対して実際にクリック・再生してもらえた割合を「CTR(Click Through Rate)」と言います。

例えば1000回表示されて100回クリックしてもらえたら、CTRは100/1000=10%です。

CTRはほぼタイトルとサムネイルで決まると言ってよいでしょう。

動画サイトやSNSで表示される情報はそれだけだからです。

皆さんが動画サイトやSNSでクリックする動画がどんなものか考えてみれば、腑に落ちるでしょう。

ではタイトルまたはサムネイルに「中学生」を明記することがCTRに与える影響を考えてみます。

まず、検索の段階で中学生クリエイター目当てでインプレッションを獲得した人については、効果は無いでしょう。

したがって効果があるとすれば、それ以外の人です。

例えば「ボカロ」で検索した結果「中学生」というキーワードに惹かれる人がいればCTRが上がります。「中学生なのにボカロPなんてすごいな」と思ってクリックしてくれる人が多ければ効果がありそうですね。

一方でCTRを下げる可能性も考慮が必要です。

例えば「わざわざ中学生を名乗ることでクオリティが低いことの言い訳をしている(=保険をかけている)」と捉え、スルーしてしまう人がいるかもしれません。

この点に関しては絶対的な正解は無いため、試行錯誤が必要です。

youtubeであればインプレッションのクリック率(=CTR)がわかりますし、Twitterであればインプレッション数・メディアの再生数やリンクのクリック数からCTRが計算できますので、どのようなタイトルであればCTRが高くなるか、試行錯誤していくと良いでしょう。

3.作品を気に入ってもらう

晴れて作品を見てもらうことが出来たら、いよいよその作品を気に入ってもらえるかどうかの土俵に上がることになります。

端的に言えば作品の「評価」です。定量的に測れるものとしては

  • 視聴継続率(=最後まで見てくれたか)
  • 高評価数(率)
  • チャンネル登録数やフォロー数

などが挙げられるでしょう。youtubeではアナリティクスを使っていずれも作品単位で確認できます。

それでは、作品の評価に対して「中学生」を明言することの影響を考えてみます。

作品の評価は視聴者の好みや作品のクオリティによって決まりますが、好みについては千差万別で議論が難しいため、クオリティに絞って考えます。

視聴者が見る前に想像したものよりもクオリティが高ければ高評価、そうでなければスルー or 低評価という、とても分かりやすい結果になるでしょう。

粗削りだけど今後の成長に期待したい、ということでフォローしてもらえる可能性もあります。

常識的に考えて中学生に対する評価基準はそれ以上の年齢層のクリエイターより甘くなる視聴者が多いでしょうから、視聴まで漕ぎ着ければ、「中学生」という属性を明記したことによるマイナスの影響は無いのではないかと思います。

まとめ

クリエイターが作品タイトルやタグ等で「中学生」を明言することについて、マーケティング視点で3つのステップに分けて考えてみました。

  1. 作品を見つけてもらえる回数(=インプレッション数)は増えそう
    ※ただし好ましくない層のインプレッションが増えていないかは要注意
  2. 作品を見てもらえる確率(=CTR)の増減は一概には言えないので試行錯誤が必要
    →アナリティクス等を活用しよう
  3. 作品を見てもらえさえすれば、気に入ってもらえる確率は上がりそう

 

中学生といえどクリエイターとして活動していく以上は、安易に他人の意見に一喜一憂したり流されたりせず、信念と事実分析に基づいて活動指針を決めていく必要があるでしょう。

この記事が若いクリエイターの参考になれば幸いです。

ブログを引っ越しました。

ニコニコ動画のブロマガが終了するらしいので、過去の記事も含めてお引っ越ししました。

 

site.nicovideo.jp

 何かに巻き込まれた時何かをやらかした時くらいしかブログは書いていませんが、今後はもう少し気軽に記事を書いていこうかと思ってますので、よろしくお願いします。

 

ネタ曲投稿祭の感想<木村わいP>

久しぶりのブロマガです。
今回は私が参加した「ネタ曲投稿祭」について感想をまとめます。

◇ネタ曲投稿祭とは

ボカロPの子牛さん(@COWshi504)が企画したイベントです。
詳細はこちら
参加者は270人以上、投稿された楽曲は300曲以上にも上り、ニコニコ運営代表の栗田さん曰く「ボカコレにも匹敵する規模」だったそうです。すごい!
以下に参加楽曲がまとめられていますので、是非聞いてみてください。

◇私の参加経緯

witterを見ていたらたまたま誰かのリツイートで子牛さんのイベント告知ツイートが流れてきました。



普段からネタ曲を投稿している色物ボカロPの私としては平常運転で企画に参加できるので、参加を決めました。
楽曲は「ステキなカレシ」。
ポジティブだけどちょっと盲目的な恋に溺れる女の子の歌です。

特にひねりの無い普通の曲なのですが、同日に「うっせぇわ」でお馴染みのsyudouさんが「キュートなカノジョ」という楽曲を投稿されたことで、「アンサーソングじゃないの!?」と話題になったことが一番のネタになりました。

言うまでもありませんが、私の楽曲とは何の関係もございません。関係性を疑うことは(先方への)風評被害です。
ちなみに私の動画宣伝ツイートより、このことに触れたツイートの方が拡散されています。ここまで含めてネタです。

とまあ自分のことはこれくらいにして、以降ではネタ曲投稿祭や他の方の楽曲について触れたいと思います。

◇ネタ曲投稿祭の良かった点

①ボカロ黎明期のノリを感じた

2007~2008年あたりのVOCALOID黎明期には、「面白いおもちゃがあるぞ」的なノリで、カバー曲を中心にVOCALOIDを使った動画がニコニコ動画に投稿され、次第にオリジナル曲が投稿されるようになりました。
それらは動画的にも音楽的にも決してクオリティが高いものばかりではありませんでしたが、誰もが自己満足のために投稿し、視聴者も純粋に動画を楽しんで視聴していました。

時は流れ、動画での収益化が可能となったこともあって、ビジネスとしてボカロPを行う人が増え、音楽もPVもプロ顔負けのクオリティのVOCALOID楽曲が量産されるようになりました。
私自身も(副業ではありますが)ボカロPとしての収入を得ていますし、この流れを批判するつもりはありません。
しかしながら、黎明期のようなノリで気軽に投稿することの心理的ハードルが上がったことは否めないでしょう(私の作風は相変わらずですが)。

そんな時代において、今回のネタ曲投稿祭は、ビジネス色がほとんど無く、誰もが自分の承認欲求とリスナーの笑顔ために全力を出している感じがとても懐かしく、心地よかったです。

②新人ボカロP・若手ボカロPにとって大きな一歩になった

今回のイベントで動画投稿デビューを果たした方がそこそこいるようです。
直接お話を聞いたわけではないので推測にはなりますが、「ネタ曲」限定であることや多くのボカロPが一斉に投稿することで、心理的ハードルが下がったのではないでしょうか。
「ボカロPになりたい人」がとりあえず一曲投稿して「ボカロP」になることの大切さと難しさは、その壁を越えた方ならば、誰もがご理解いただけるでしょう。
ネタ曲投稿祭が「ボカロPになりたい人」何人かの背中を押して「ボカロP」にしたことは間違いありません。

また活動歴が浅いボカロPにとって、ネタ曲投稿祭は認知度を向上させるきっかけとなったのではないでしょうか。
事実、「ネタ曲投稿祭の投稿楽曲が一番再生数が多い」という方もそれなりにいるみたいです。
私自身、ネタ曲投稿祭をきっかけに、多くのボカロPさんやその楽曲に出会うことができました。
再生数は少ないけど、滅茶苦茶いい曲を作る人がいっぱいいることも知りましたし、そういった方を応援していきたいという気持ちになりました。

ニコニコ動画の良さを再認識できた

最近は「ボカロ曲はニコニコ動画よりyoutubeの方が伸びる」と言われており、私自身チャンネル登録者数も再生数も圧倒的にyoutubeの方が多いため、ニコニコ動画は惰性で投稿を続けているような状態でした。
動画を見るのも、youtubeがメイン。
そんな折、ニコニコ動画でのイベント。皆さんの動画を見る中で、改めて感じたニコニコ動画の良さがありました。

  • コメント:やっぱりコメントは動画に流れる方が、コメントする方も貰う方も楽しい。
  • マイリスト:子牛さんの全曲マイリストを順番に再生するのが楽しかった。youtubeにも再生リストはあるけど、なんか違う。。
  • ランキング:ランキング上位に参加者の動画が並ぶと、自分まで嬉しくなりました。
  • きわどいコンテンツ:youtubeなら一発アウトの動画もちらほら。代表はこれとかこれとか。

◇お気に入り5作品

ネタ曲投稿祭の投稿楽曲は、どれも作者の思いが詰まった渾身の(?)楽曲ばかりですが、その中でも特に私のお気に入りを5曲ご紹介します。


 発想力に脱帽。VOCALOIDの調整をあえて音痴にする。ギターが弾けないことを活かす。
 私が如何に狭い範囲で「ネタ曲」を捉えていたかを思い知らされました。


まっすぐで飾り気のない曲調と最後のどんでん返しがうまくマッチしていて、聞き終わった後の爽快感は一番。次回があるならテーマソングにしてほしい。


純粋に曲が好き。アニメ主題歌だったらアマプラで連続視聴してても毎回飛ばさずに聞いちゃう。

曲も歌詞も好き。爽快なバンドサウンドに頭悪くて真っ直ぐな歌詞が、チーズとケチャップくらいの神相性。

泣きのメロディに、情報量も進展もゼロなのに聞き入る歌詞。4分間があっという間。NHK朝の連ドラ主題歌にしたい。

◇さいごに

楽しいイベントを企画・運営いただいた子牛さんやスポンサーの方々、そして参加された全てのボカロPの皆様に心より感謝しています。
第二回があれば、是非参加したいと思います。

あとよろしければニコニコ動画のフォローをお願いします。


ついでにyoutubeのチャンネル登録もお願いします。

それからLINEスタンプも作ってるので買ってください。

そんでもってtwitterのフォローもお願いします。

twitterにおける「高音厨音域テスト」の二次創作作品に対する発言について

2019年7月4日に木村わいP(以降"私"と表記します)のツイートを発端にお騒がせしている表題の件について、私にも落ち度がございましたため、謝罪と経緯のご報告をさせていただきます。

【1】「私の作品の二次創作作品すべてが広告収入を得ている」と誤解させ得る表現について

まず、最も拡散された以下のツイートについて、事実と異なる部分がございました。
広告収入ガッツリ稼いでる」について、全ての二次創作作品が広告収入を得ているわけではないにもかかわらず、決めつけたような発言となってしまったことを謝罪致します。申し訳ございません。

【2】私の二次創作作品に原曲リンク・原作者名の表記が無い件について


上記ツイートにぶら下げる形で、私の楽曲の二次創作作品のリンク(youtube)を複数件載せ、「原曲リンクや私の名前が無い」旨のツイート致しました(現在は削除済み)。

上記ツイートをご覧になられた二次創作作品の投稿者の方々からtwitterのDMでご連絡いただき、即日動画の概要欄に私の原曲リンクや名前を記載いただきました。

しかしながら、私がpiaproで公開している「高音厨音域テスト」のオフボーカル音源(こちら)では、ライセンス条件が「非営利目的に限る」のみとなっており、
作者の氏名表示」
「その他オリジナルライセンス(例えば原曲リンクの記載)」

の条件は設定されておりませんでした。
したがって、私が「原曲リンクや私の名前が無い」旨のツイートを行った二次創作作品の投稿者に、ライセンス処理において落ち度は無かったと言えます。

にもかかわらず、あたかも二次創作作品の投稿者に落ち度があるかのような発言をしてしまったことで、投稿者やそのファンに不快な思いをさせてしまったことを、謝罪致します。申し訳ございません。

発言の経緯


冒頭に記載したツイート、及びそのリプライとして投稿したツイートにおいて、私は下記2点を混同させた形で発信してしまいました。
  1. youtubeの収益化が認められないことに対する不満
  2. 二次創作作品において原作者名や原曲のリンクが無いことへの驚き
1.について
私のオリジナル作品しか投稿しておらず、かつ規約違反も行っていないにもかかわらず、複数回の誤BAN(誤ってチャンネル停止させられる)や収益化が否認される問題が発生していたことによるものです。
youtube側が機械的に判定しているため、誤った判定により私のように不利益を被っている投稿者が多いようです。
ただし、本件はあくまで私とyoutubeで解決すべき問題であり、少なくとも私がツイートした二次創作作品の投稿者には無関係で、混同すべきではありませんでした。

2.について
私の創作活動はニコニコ動画が起点になっております。
ニコニコ動画では公式に用意されたコンテンツツリーという仕組みがあるほか、特にVocaloid楽曲やその二次創作作品(歌ってみた、踊ってみた等)における暗黙の了解として、動画説明文に原作のリンクや原作者名を記載する文化があります。
逆に(これは投稿者によりますが)二次創作作品を原作者が「歌っていただきました!」などと紹介する流れまであったりもします。

上記のように二次創作⇔原作の繋がりが強いニコニコ動画で育った私は、「二次創作を行う上で原曲リンクや原作者を載せるのは常識」だと思い込んでおりました。
そのため、youtubeニコニコ動画外)の二次創作作品において原作表記が無いものに出会った際に、驚き、そして非常識だと決めつけてしまいました。
しかしながら、【2】で述べた通り、私のピアプロにおけるライセンス条件に照らし合わせれば、原作表記が無いことは非常識ではありません。
ひとえに、狭い範囲での常識が全てに当てはまると勘違いしてしまった、私の落ち度です。


1.2を混同させて趣旨が不明瞭な発言をしてしまったこと、さらに2.において自分の落ち度を棚に上げて他者を批判するような発言をしてしまったことを、改めて謝罪致します。大変申し訳ございませんでした。

最後に


今回は、未熟さ故に感情的になり、自己承認欲求だけを前面に出し、事実確認や他者への配慮を欠いた発言により多方面への心配とご迷惑をおかけし、申し訳ございませんでした。
私のツイートについては、二次創作作品の具体的なリンクを記載したもの(削除済み)以外は、自戒の念を込めて、あえて削除せずに残しておく所存です。

私は、私の作品の二次創作を制限する意向はございません。むしろ、自分の楽曲が様々な方に様々な形で親しまれることを、とても喜ばしく思っています。
今後もピアプロで設定済みのライセンス条件を変更することはないため、強制することも言及することもございませんが、もしお手数でなければ、原曲へのリンクや原作者名を記載いただければ大変幸甚です。

末筆ながら、本件に対する正しい認識や解釈をtwitter等でご教授いただいた皆様に、厚く感謝を申し上げます。
個別のご連絡が出来ないことを、どうぞお許しください。



【ボカロPが語る】親作品登録のススメ

【はじめに】
いつも動画を見てくださっている皆様、ありがとうございます。
初めましての方は、初めまして。

ボカロ作品を投稿している木村わいPと申します。


おかげさまで、ここ数年は「歌ってみた」や「踊ってみた」など二次創作もしていただけるようになり嬉しく思っている反面 、ちょっと気になることがあるので、久しぶりに記事を書いてみました。

それはずばりコンテンツツリーの親作品登録についてです。


特に最近は適切な親作品登録が行われていないケースが散見されますので、
改めてまとめておきたいと思います。


なお以下に記載する内容は、ニコニコ動画内で二次創作や派生作品を投稿される全ての方に知
っておいていただきたいものとなっていますので、私の作品を利用する方に限らず読んでいただければ幸いです。


また、本記事はあくまでボカロP目線で書かれていますので、
エンタメ・音楽カテにフォーカスした記載になっていることをご了承下さい。



【1.コンテンツツリーとは?親作品とは?】
(ご存知の方は読み飛ばしていただいて構いません)

公式の説明によると、

「コンテンツツリーとは、二次創作の派生関係を管理・表示する機能です。作品の元になった作品(親作品)や、 作品が元となって作られた作品(子作品)などをツリー的に表示します。」

となっています。

動画等(※)を作成した際に、既にニコニコ動画に投稿されている動画等の一部または全部を利用した際には、 コンテンツツリーの親作品に、利用した動画等を正しく設定する必要があります。
※動画、静画、ニコニ・コモンズ素材


【2.なぜ親作品の設定が必要なの?】
では、なぜ親作品を登録する必要があるのでしょうか。
理由は、大きく2つあります。

(1)親作品作者への通知
親作品登録を行うと、親作品の作者(以降「原作者」と呼びます)に対して通知が届きます。
具体的には以下のように右上の通知アイコンが点灯し、そこから遷移する画面にて、具体的に「自分のどの作品が」 「誰のどの作品の」親作品に登録されたかを知ることが出来ます。




これはあくまで私の感覚論でしかないのですが、「自分の作品を利用した二次創作作品を見てみたい」という原作者は多いのではないでしょうか。
もちろん、「気にいらない・不適切な二次創作を排除したい」というネガティブな理由もゼロではないでしょうが、基本的には「どんな風に使ってもらったのか知りたい」「せっかく二次創作してくれたのなら、見てみたい」というポジティ ブな理由だと思います。


二次創作者側にとっても、せっかく利用させてもらったのだから、原作者に連絡したいな・・・でもわざわざメールやSNSのメッセージでお伝えするのも図々しいような気がして、気が引ける・・・という、もやもやした思いを抱えなくてよいというメリットがあります。
ステマティックに通知されるので、さりげなく原作者に二次創作したことをお知らせできるのです。


(2)親作品に対するクリエイター奨励スコアの「子ども手当」付与
親作品がクリエイター奨励プログラムに登録されていた場合、親作品自体へのポイントに加えて、子作品の人気度に応じたスコア(=子ども手当)も付与されます。

つまり、正しく親作品を登録していれば、自分の二次創作が人気になればなるほど、
原作者へスコアが付与されるのです。「原作利用料」みたいなものだと考えるとしっくりくるのではないでしょうか。
逆に言えば、二次創作を行ったにもかかわらず親作品を登録しないということは、
利用料を払わずに原作を無断利用している」と考えることも出来ます。
なお利用料とはいっても、親作品登録を行うことによって子作品のスコアが減ることはありませんので、二次創作者にとってのデメリットもありません。
また「子ども手当」は子作品がクリエイター奨励プログラムに登録しているか否かを問わず付与されますので、自身がクリエイター奨励プログラムを利用していないからと言って、親作品登録を怠ってはいけません

※「クリエイター奨励プログラム」や「子ども手当」がよく分からないは、以下の公式ヘルプをご参照ください
クリエイター奨励プログラムとは
子ども手当とは


【3.親作品登録はどうやって行うの?】

それでは、「親作品登録」を行う具体的な方法をお伝えします。

自分の投稿動画一覧画面から、
登録を行いたい動画の「コンテンツツリーの確認」を選択します。





②「親作品を登録する」または「コンテンツツリーの編集(※)」を選択します。
※既に親作品登録済またはオリジナル作品表明済の場合





③画面左の「親候補作品」で親作品に登録したい動画を選択します。
いろいろな選択方法がありますが、ここでは「IDから指定」の例を紹介します。





④「作品ID」に親作品のID(動画ならsm~、静画ならim~、素材ならnc~)を入力し、「+」を押します。
正しいIDを入力していれば、下に親作品が出てくるはずです。





⑤ドラッグ&ドロップで、親作品候補を画面右側の「親作品」の枠内に移動します。
なお、複数の親作品がある場合は③~④を繰り返します。
全ての親作品を設定し終えたら、「この内容でコンテンツツリーを作成する」を選択します。





⑥コンテンツツリー画面の「親作品」に、設定した親作品が全て表示されていれば完了です。





【4.ありがちな親作品登録漏れのパターン】
ここまで読み進めて、「親作品登録なんてちゃんとやってるわ!!!」という方も多いでしょう。
そんな方にこそ呼んできただきたいのが、この章の内容です。
実際に私の作品を利用した派生作品においても、ここで書いたパターンの登録漏れが多いのです。

コンテンツツリーには、「孫作品」「曾孫作品」という概念がありません。
どういうことかと言いますと、ある一次創作作品を利用した二次創作作品があり、
さらにその二次創作作品を利用した三次創作作品を投稿した場合、三次創作作品の親作品として二次創作作品を登録しても、一次創作の原作者へは「通知」は行われず、「子ども手当」も付与されません。


具体例でご説明します。

・ボカロPのAさんが、ボカロ曲aを投稿しました。
・ピアノ奏者のBさんが、aの演奏してみた動画bを投稿しました。
 Bさんはbの親作品にaを登録しました。
・歌い手のCさんが、演奏してみた動画bを伴奏にして、aの歌ってみた動画cを投稿しました。
 Cさんはcの親作品に弾いてみた動画bを設定しました。

この場合、Cさんが歌ってみた動画cを投稿したことは原作者のAさんに通知されず、
Cさんの子ども手当がAさんに付与されることもありません。

これが正しい状態でないことは明らかですよね?
それでは、Cさんはどのように親作品登録を行うべきでしょうか。

正解は、ボカロ曲aと演奏してみた動画bを両方とも親作品に登録する必要があります。

そうすれば、AさんBさん双方に通知が行われ、子ども手当も付与されます。


つまり、親作品には元となった全ての動画等を設定する必要があるのです。


以下に、親作品登録を忘れがちなパターンを列挙しますので、ご参考にしていただければ幸いです。
※あくまで例ですので、これが全てではありません。


(例1)ボカロ曲aのリミックス版a'を元に、歌ってみた等の二次創作を投稿した場合
 →a'だけでなく、原曲aの親作品登録を忘れずに!


(例2)ボカロ曲aのアレンジ版歌ってみたbをカバーして、歌ってみた等の二次創作を投稿した場合

 →bだけでなく、原曲aの親作品登録を忘れずに!


(例3)ボカロ曲aの歌ってみた動画を複数集めて、リレーや合唱動画を投稿した場合

 →歌ってみた動画だけでなく、原曲aの親作品登録を忘れずに!


(例4)ボカロ曲aの踊ってみた動画bの振付けを参考に、踊ってみた動画を投稿した場合

 →bだけでなく、原曲aの親作品登録を忘れずに!


(例5)ボカロ曲aの踊ってみた動画bからモーショントレースを行ったMMDモデルcを使い、MMD動画を投稿した
場合
 →cだけでなく、原曲aや踊ってみた動画bの親作品登録を忘れずに!

(例6)ボカロ曲aのニコカラ動画bやキー変更オケcを参考に歌ってみた動画を投稿した場合
 →bやcだけでなく、原曲aの親作品登録を忘れずに!
  ※なお、原曲作者がニコカラやキー変更オケ自体を快く思っていないケースもありますので、事前に確認することをお勧めします。


(例7)ボカロ曲aの演奏してみた動画bを、BGMとして利用した動画(旅動画、作ってみた等)を投稿した場合

 →演奏してみた動画bだけでなく、原曲aの親作品登録を忘れずに!



【5.ニコニコ運営へのお願い】
親作品登録が正しく行われないケースが増加した要因の一つとして、
動画投稿時に親作品が登録できなくなった」ことが挙げられるのではないかと思っています。

現在の仕様は、投稿者が親作品登録の必要性を知るきっかけが少なくなってしまう、
投稿後でないと登録できないので忘れてしまう、などのデメリットしかありません。

ぜひ以前のように、投稿前に親作品登録を行えるUIに戻していただけないでしょうか。
あくまで私の主観ではありますが、動画投稿者の方から同様の意見を多く耳にしております。



【6.さいごに】
長々とエラソーにご説明してきましたが、私はニコニコのプロフィールにも記載の通り、非営利目的の二次創作は歓迎しておりますし、
ニコニコ動画自体が二次創作や派生作品で盛り上がる文化とともに発展してきたとも思っています。

正しいコンテンツツリー登録の元、作者も視聴者も楽しめる二次創作・三次創作を作っていただければと思います。



P.S.

皆さんPCやスマホのやり過ぎでドライアイになっていませんか?
↓の動画で、簡単にドライアイの診断が行えますので、是非チャレンジしてみてください。



ボカロPが自作曲を無断使用されて学んだこと


いつも動画を見てくださっている皆様、ありがとうございます。
初めましての方は、初めまして。

ボカロ作品を投稿している木村わいPと申します。


これまでネットの片隅で3年弱の間、細々と創作活動をしてきた私ですが、このたび
「自身が作詞・作曲した楽曲を第三者に無断で改変・使用され、事後の交渉により和解する」
という貴重な(?)体験をしました。
その過程で感じたこと・学んだことがいろいろあったため、私と同じように楽曲制作を行う(主にアマチュアの)創作者の皆さま、並びに他者の楽曲を利用した二次創作を行う方や企業にとって少しでも参考になればとの思いから、文章に残して置くことにしました。



著作権と著作人格権について
はい、早速お堅い話です。
音楽に限らず創作活動をされているほとんどの方には釈迦に説法になってしまうかと思いますので、「そんなもんわかっとるわ!」という方は、このセクションは読み飛ばしていただいて構いません。
ただ、「聞いたことあるけど完璧には理解してないかも…」と言う方には、是非読んでいただきたいです。

【1.著作権(著作財産権)】
著作物を創作した人が持つ権利です。他人に譲渡することも可能です。
著作物を複製したり、改変したり、ネット等で公開・配布する権利に加えて、二次的著作物(自分の著作 物を元にして作られた著作物)に大して、二次的著作物の作者と同等の権利を持てる権利を保証するもの です。

一言で言うと、「自分の創作物を使う権利」ですね。


【2.著作人格権】
著作物を創作した人が持つ権利で、こちらは他人に譲渡することができません。
著作物の公表に関する権利や氏名を表示する権利も著作人格権に含まれますが、最も重要なのは「同一性保持権」です。
これは、「著作物を勝手に改変されない権利」です。
「改変」とは、例えば歌詞を変える「替え歌」やテンポや演奏内容を替える「アレンジ」などが該当します。
著作権を譲渡されていたとしても、著作人格権の侵害になるような著作物の利用は認められません。

一言で言うと、「自分の創作物の意図しない使われ方を防ぐ権利」ですね。


【3.著作権・著作人格権の侵害】
著作権と著作人格権は、いずれも著作物が作られた瞬間に発生する権利であり、著作物を販売したか否かや、創作物や著作者が有名か否かなどは一切関係ありません。
個人や企業が著作権保持者の許可なく著作物を利用した場合は著作権侵害、著作者の許可なく著作物を改変した場合は著作人格権侵害となり、著作者に訴えられれば、刑事上・民事上の責任を負うことになります。
極端な話、ニコニコ動画のみに投稿して100再生しかされなかったVOCALOID楽曲を、民放のテレビ局が番組中で勝手に利用した」というケースであっても、立派な著作権侵害です。

これを知らない・勘違いしている方が多いのか、著作権侵害を受けた創作者に対し
「CD(出版物)を出してないんだから著作権なんて関係ないだろ」
「無名作者のくせに、エラソーなこといってんじゃねーよ」
「曲を使ってもらって有名になったんだからいいだろ」
「売名乙」
などといった、心無い発言が目立つのが残念で仕方ありません。
著作権侵害を行った側が開き直って言うならばいざ知らず、本来同じ立場にあるはずのクリエイターからもそう言った発言が出ることは、非常に由々しき事態です。
痴漢被害にあった女性に、同じ女性が「イケメンに触ってもらえたんだから文句言うなよ」と言っているようなものです。

なお私の場合、ニコニコのプロフィールページにも記載の通り、非営利目的の二次創作については、特に許諾なく利用することを認めています(明言していませんが、改変についても許可しています)。
もちろん「私の場合は」ということで、他のクリエイターも一律「非営利目的なら勝手に使っていい」というわけではありません。
HP等に明記されていない場合は、二次利用の可否について作者に直接確認すべきです。



著作権管理団体と包括契約について
「え?また堅い話?」って?はい。すみませんが、もう少しだけお付き合いください。
先ほどは著作権と著作人格権およびその侵害について、簡単に説明しました。

ところで、特に創作者でない方は、なんとなく「著作権JASRAC」というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。今回の無断使用については、JASRACという存在もそれなりに関わってくるので、ここで軽く触れておきます。
例によって、「何をいまさら!」と言う方は読み飛ばして下さい。

著作権は基本的に著作者に帰属しているため、ある著作物を二次利用する際には、著作者へ直接連絡し、 許諾をもらわなければなりません。

しかし、世の中には何万ものアーティストがおり、彼らに都度許諾を取るのはなかなか大変です。
また、著作権を保持するアーティスト側も、全国津々浦々でのライブやテレビやラジオの放映からスーパ ーやコンビニのBGMに至るまで、自身の楽曲が使われていないか(=著作権が侵害されていないか)を把握することはほぼ不可能です。

つまり、著作権を厳密に守るには、「著作者」「著作物の利用者」だけでは、何かと不都合が生じるのです。
そこで登場するのが著作権管理団体であり、その代表格がJASRACです。
JASRACが行っていることは、簡単に言うと以下の2点です。
・楽曲の著作権を譲り受ける
・楽曲使用者から使用料を徴収し、楽曲作者に還元する
これにより、楽曲使用者はJASRACへ利用料を払うのみで楽曲作者との交渉は不要となり、楽曲作者もまた全国の著作権侵害に目を光らせずとも、著作権管理団体が代わりに使用料を徴収してくれる、という双方 へのメリットが生まれます。
(なお楽曲使用者から徴収した使用料から取るマージン、作者への還元方法、音楽利用を妨げるほどの厳密すぎる著作権使用料の回収などを理由に、JASRACへの批判があることもまた事実ですが、ここでは無関係なので触れません)

通常ライブなどで著作権のある楽曲を利用する際は、イベント会社やライブハウスがJASRAC包括契約を結び、既定の使用料を払うことがほとんどです。
しかしながら、上記で楽曲使用が可能となるのは、当然「JASRAC管理楽曲のみ」です。
したがって、

JASRACに管理されていない楽曲を使用する際には、
個別に作者へ許諾を得なければなりません。


これ、とても重要なポイントですので、覚えておいてください。

なおJASRAC管理楽曲は以下のサイトで検索できます。
http://www2.jasrac.or.jp/eJwid/main.jsp?trxID=F00100

ちなみに私の場合は、高音厨音域テストの他、計7曲をJASRACに委託しています。
「権利者名」に「木村わいP」と入れて検索すると出てきます。



■無断使用発覚の経緯
さて、いよいよ本題です。
2015年9月某日、twitterにて気になるツイートを発見しました。
あるyoutubeの動画にて、私の楽曲「玉袋を蚊に刺された(下記)」をアレンジした上に使用されている、という内容でした。




該当のyoutube動画には、数人のダンスユニットがライブハウスでダンスパフォーマンスを行っている様子がおさめられているのですが、確かに「玉袋を蚊に刺された」がアレンジされた上で流れていました(現在該当のyoutube動画は削除されています)。
当然、私の許可を取ってのアレンジ・楽曲使用ではありません。
なお、ライブは全国各地で複数回実施されていたことも、youtubeの動画説明文から推測できました。



■「玉袋を蚊に刺された」の著作権について
「玉袋を蚊に刺された」は私が作詞・作曲を行い、ニコニコ動画およびyoutubeのみに投稿している楽曲です。CD化やダウンロード販売は行っておりません。
JASRAC等の著作権管理団体への委託は行っておらず、著作(財産)権は私に帰属していますので、三者が利用する際には、私自身へ許諾を取る必要があります。
また、当然著作人格権の放棄も行っておりませんので、改変する際にはその旨の許諾も必要です。
つまり本来であれば、当該ダンスユニット(もしくは代理人)から使用目的をご説明いただき、使用条件(使い方、改変有無、使用料など)について双方で合意し、契約を取り交わした上で、初めて楽曲の使用が可能になるわけです。



■無断使用発覚後のアクションについて
今回の楽曲無断利用により私が大きな財産的損害を被ったか?と聞かれれば、正直答えはNOです 。
しかし、だからと言って、今回のようなケースに目をつぶってしまっては、
(特に私のように無名な)創作者の権利は、いつまでたっても実効上守られません。

そのように考えた私は、先方へ著作権・著作人格権侵害をしっかりと指摘し、正当な対価をもらうことを決意しました。

【1.無断使用者への連絡】
まずは、youtubeの動画を投稿したチャンネルを見て、該当のダンスユニットは大手芸能プロダクションに所属していることを把握しました。
問い合わせ先のメールアドレスが記載されていたため、以下の内容でメールを送りました。

※個人名・企業名およびそれらがわかる情報は一部伏字にしています。


------------メール引用-----------
株式会社●●●●(芸能プロダクション名) ご担当者様


初めまして。
VOCALOID楽曲の作成を行っている 木村わいPと申します。

表題の件、貴社所属のユニット「●●●●(ダンスユニット名)」のライブにて私の楽曲を
無断で使用されているようなので、ご連絡いたしました。

ライブの様子を撮影している以下の動画にて、4:50あたりから私の楽曲
「玉袋を蚊に刺された」を無断で使用されています。

https://www.youtube.com/watch?v=●●●●●●●●●●●●
(動画タイトル)


原曲:玉袋を蚊に刺された
http://www.nicovideo.jp/watch/sm24099085


本楽曲はJASRACへの権利委託を行っておらず、
全ての権利は私に帰属しています。

動画説明を拝見したところ、
有料チケットを販売して行うライブのようですので、
私が禁止している無断の商用利用に該当します。

通常であれば事前のご連絡をいただき、
利用目的や利用料等の合意をさせて頂いてから利用するのが筋ですが、
いかがお考えでしょうか。


まずは速やかに事実確認と御返事をお待ちしております。


宜しくお願い致します。

-----------引用終わり---------


その後しばらく返信が無かったため、ダンスユニットtwitterアカウント宛てに
メンションを送りました。しばらくしてDMで謝罪があり、改めて所属芸能プロダクションより連絡する旨 連絡がありました。
同日夜に芸能プロダクションよりメールにて謝罪および「玉袋を蚊に刺された」を使用したライブに関して、ダンスユニット宛のDMにて要求した通り、以下の情報を頂きました。
・開催日時と場所
・チケット代
・集客人数
この情報は、請求する使用料の算出に用いるために入手しました。


【2.使用料・慰謝料の請求】
上でも述べたとおり、本来は事前に使用料を含む使用条件について合意し、契約を結ぶのが正しい流れです。
したがって今回のように無断で使用してしまった際には、理論上は著作権保持者の”言い値”で支払っていただくことになり、そのことに対して使用側は一切の文句を言えないはずです。

とはいえ、現実には、例えば私が「100億円払ってね」と言っても無い袖は振れないですし、
相手が「高すぎるから払いたくない」と言えば、裁判で争うことになります。
そこまでの労力をかけてまで高額な使用料を取る気はなかったので、現実的な金額を算出してみることにしました。

しかしながら、私は今まで個別に使用料を頂いたことがほとんどなかったため、相場が全く分かりません 。
そこで類似の案件がないかを調べたところ、とても参考になるケースがありました。

カズワタベ(@kazzwatabe )さんの楽曲が著作権侵害された件について まとめ
http://togetter.com/li/371567

「非JASRAC管理楽曲が無断で第三者に利用された」という、今回の私とほぼ同じケースです。
異なるのは著作隣接権の有無ですが、これはCD化の有無、実演の有無により差が出る部分なので、今回は気にしなくてよさそうです。
具体的な請求金額の記載はありませんが、最終的にはJASRACに委託していた場合の使用料ベースでの交渉となった模様です(ご本人は完全に納得はされていないようですが)。


次にJASRACのHPにて、使用料を調べました。
今回の無断使用は、以下の2点で行われていたことになります。
①ライブにおける無断使用
②動画配信における無断使用(ライブの様子を収めたyoutube動画)

①は、集客数やチケット代から算出できます。
②は、配信期間を元に算出できます(厳密には月額収入や広告収入の有無も関係します)。

以上により、著作権使用料は算出できました。


続いて慰謝料です。今回はお金を巻き上げることが目的ではなく、
しっかりと著作権・著作人格権の侵害について理解し反省していただくことが目的ですので、金額は大きくしていません。

名目は以下の2点で請求することとしました。
・著作物の無断利用による著作権侵害への慰謝料
・著作物の改変利用による著作人格権侵害への慰謝料


使用料と慰謝料を合わせた請求書を作成し、以下の内容を添えてメールにて送付しました。


------------メール引用-------------

株式会社●●●● ●●様


お世話になります。
木村わいPです。

ご連絡ありがとうございました。

ご報告いただいた情報および拝見した動画(現在は削除済み)を元に、
添付の通り、楽曲使用料および慰謝料を請求致します。

本来であれば事前に楽曲の使用についてご連絡をいただいた上で
許諾・金額交渉をさせていただくのですが、今回は事後承諾の形となります。
従って基本的にご提示した請求額にてご了承いただくことになりますが、
もし不明点等があればご連絡ください。

合意いただけましたら、
振込先情報をメールにてお伝えします。

また、経理上の都合により
押印済みの請求書が必要な場合はお送りしますので、
その旨お申し付けください。
(その場合送料をご請求額に別途計上させていただきます)


宜しくお願い致します。
-----------引用終わり------------


<<<<<<<請求書イメージ>>>>>>>


【3.和解】
おそらく社内で直属上長や法務部門等への確認に駆けまわっていたのでしょう。請求書メールを送付した翌日、日付が変わる直前に芸能プロダクションの担当者より「請求額通り支払う」旨返事がありました。
誠意ある対応に納得し、和解に至りました。


【4.無断使用の経緯についてのヒアリング】
本件で一番重要なポイントです。
「なぜ私の楽曲を無断使用することになってしまったのか」を、芸能プロダクションの担当者から、実際に楽曲を使用したダンスユニットのメンバーにヒアリングを行っていただき、回答を得ました。

実際の回答は以下の通りです(原文のままです)。

--------------回答引用--------------
「丁度新ネタを作るにあたり、YouTubeで曲候補を探していた所、アップロード2日目の「玉袋を蚊に刺された」を発見し、歌詞の内容、曲調共に完璧だと思い使用させて頂こうと思いました。
ネットで検索しても購入方法がわからず、YouTubeのコメント欄に使用させて頂きたい旨を書こうとしてたのですが、製作締切間近でもあったので、返信が間に合わなかったら、拒否されたら、などネガティブな思考が働き、そのままYouTubeのサイトからダウンロードして使用しました。この度はご迷惑お掛けして誠に申し訳ありませんでした。」
--------------引用終わり-------------



■学んだこと・お伝えしたいこと
上記の「無断使用の経緯」は、要約すると、
①営利目的のライブで使う曲を、動画サイトで探していた
②使いたい音楽を見つけたが、いろいろ考えた結果、作者に許可を取らずに使った
ということです。

実に単純な話ですが、一次創作者(特にアマチュア)および二次創作者双方にとって、ここから多くのことを学べるのではないかと考えます。
ということで、今回の騒動を通じて私が皆さまにお伝えしたいことを、以下に記載します。


【1.一次創作者の皆さまへ】
二次利用を行いたい者は、いかなる手段を使ってでも著作者に許可を取るものである」というのが性善説に基づいたあるべき姿なのですが、現実はそうはいきません。
現に、上記②のとおり、大手芸能プロダクションに所属するそれなりに名の知れたアーティストですら、
「なんだかんだで結局作者に黙ったまま、営利目的で作品を二次利用してしまう」
ということが起こり得るのです。
これを完全に防ぐには、JASRAC等の著作権管理団体に委託するしかないと思います。

そうでない場合には、自身の著作物の二次利用に対するスタンスついて、出来るだけ「目立つように」「わかりやすく」主張しておくことが大切です。
具体的には、ニコニコ動画youtubepiapro等のプロフィールページに、二次利用に関する自身のスタンスを記載することです。また、「連絡なしに勝手に使っていいですよ」という方以外は、連絡先を明記しておくことも忘れずに。

しかしながら、どれだけ万全を尽くしても、「無断利用を完全に防ぐことは現実的にはほぼ不可能である 」ということも理解しておかなければならないでしょう。
その上で、著作物の無断使用を少しでも減らしていくためには、今回の私のように、何らかの方法で無断使用を発見した際には、例え相手が有名人や大手の企業であったとしても、毅然とした態度で著作権(改変があった際には著作人格権)の侵害を指摘し、

・使用の差し止め請求

・正当な対価の請求(使用料および慰謝料)

を速やかに実施すべきです。
「大した損害額ではないし…」「めんどくさいし…」といった理由で泣き寝入りしてしまっては、ご自身はもちろんのこと、他の一次創作者にとっても、負の影響を与えてしまいます。

私の今回のケースでは、先方が迅速かつ誠意のある対応を行ってくれたため丸く収まりましたが、相手が請求に応じない場合は、内容証明郵便の送付、それでもダメなら裁判を起こすことになります。
そうなってくると費用対効果や拘束時間を鑑みて、諦めざるを得ない方も出てくるかもしれませんが、法テラスなど、無料or廉価で法律相談を行える手段もありますので、安易に諦めてしまうことはお勧めできません。

兎にも角にも、最初の一歩である「著作権侵害の指摘」をすることが、極めて重要です。

今回私が実際に送ったメールや請求書を掲載したのは、一人でも多くのクリエイター様が、泣き寝入りせずに立ち向かうことを願ってのことです。


【2.二次創作者の皆さまへ】
著作権のある楽曲を二次利用される際には、JASRACとの包括契約を行っただけでは使用許諾を取ることが出来ない「非JASRAC管理楽曲」の存在を常に意識すべきです。
特にVOCALOID楽曲やインディーズアーティストの楽曲などは、JASRACに管理されておらず、作曲者・作詞者に著作権が残っているケースが多くあります。

実は今回のケース以前にも、歌い手さんのコンサートで私の非JASRAC管理楽曲が無断使用されるケースがありました(事後の交渉により使用料をお支払いいただき、和解しております)。
また、これは他のボカロPさんですが、ご自身の楽曲を無断でライブで使用されたことに気付き、当該楽曲に関して今後一切の二次創作を禁止されたケースも拝見しました。
二次利用を考えている楽曲については、JASRAC管理楽曲か否かをしっかりと確認した上で、作者に著作権が残っている楽曲については、個別に許諾をとることを徹底してください。

有料チケットを販売してのライブなど、営利目的で利用する際は、特に注意が必要です。

万が一著作物を無断使用した場合、著作者から請求される使用料は基本的に”言い値”であることも理解しておくべきです。
(ライブが赤字だったから使用料は払いません、などという弁明は一切成り立ちません!)

また、権利者によっては著作権侵害を行った相手に対し実名での告発を行うこともあるでしょう。そんなことになれば、インターネットやSNSがここまで広がっている現代において、今後の創作活動のみならず、実生活においても深刻なダメージを負うことは間違いないでしょう。

「どうせバレないし」「使用料払うの勿体ないし」
などといった軽率な理由で著作物の無断使用を行うことは、法に反する悪質な行為であることはもちろんのこと、自分自身にとっても非常にリスキーな行為であることをご理解いただければ幸いです。

なおJASRAC管理楽曲であっても著作人格権は作者が保持し続けていますので、改変を行った上で二次利用する際には、(作者がHP等で明確に改変を許可している場合を除き)作者に許諾を必要があることも注意してください。



■最後に
今回の騒動が発覚した9月5日から9月7日頃まで、私はtwitterにてダンスユニット名および所属の芸能プロダクション名を明かした形でツイートをしていました。
しかしながら、先方に誠意ある迅速な対応をしていただいたことを鑑み、
一連のツイートを削除した上で、事の一部始終をこのようなブロマガの形で残すことに決めました。

ここまでお読みいただいた方にはお分かりいただいたかと思いますが、この文章は、今回の騒動を通じて私自身が学んだことが、少しでも他の方の役に立てばと考えて作成したものであり、当該ダンスユニットや芸能プロダクションを非難する目的は一切ありません。

つきましては、当初の私のツイートによって当事者名をご存じの方は、それらを明言することは避けて頂きたいです。
勝手なお願いではございますが、何卒ご協力のほど宜しくお願い申し上げます。



2015年9月9日 木村わいP


【おまけ:↓新曲です】